
技術資料
冷却塔
制御について
冷却塔は、循環水入口温度と外気湿球温度の差によって冷却する装置です。従って冷却塔への入口水温を一定とした場合、冬期には温度差が広がり、そのまま運転しますと夏期の2倍以上の能力が出るケースもあります。
冷却塔を冬期に運転すると一般に冷却能力が仕様を上まわりますので、循環水温度の過冷却現象や湿球温度が氷点下以下の場合、散布水の温度が下がり過ぎて凍結するため、対策をたてる必要があります。
循環水温度制御(負荷調整)の方法としては、下記の方法があります。
1 循環水のバイパス制御
循環水の入口配管と出口配管の間を連通するバイパス回路を設け、冷却塔への水量を制御する方式です。
バイパス回路により、冷却塔で冷却する水と冷却塔入口配管系統から直接冷却塔出口配管系統へ流れる水とに分けます。これにより、冷却塔で冷却された水とバイパスされた(冷却されない)水が冷却塔出口配管系統で混合されることで、機器への還り水の温度を調整することが出来ます。
制御(負荷調整)方法としては、冷却塔の循環水入口・出口配管系統をつなぐバイパス弁または三方弁を設け、冷却塔よりの出口水温を検知し、温度調節計によりバイパス弁または三方弁を作動し、負荷側の循環水入口温度を調整します。負荷が少なすぎる場合は、冷却塔への循環水が閉止しないような処置が必要となります。また、負荷が少なすぎて循環水や散布水の凍結が予想される場合にはファンの運転制御を併用する必要があります。
バイパス制御において、バイパスの流れを逆にすれば(冷却塔で冷却された出口水と熱源からの温水を混合して冷却塔に流す)高温水の冷却も可能となります。
2 ファンの運転制御
ファンの運転を制御することにより循環水の冷却塔出口温度を制御(調整)する方式です。運転制御方法としては、下記の方法があります。
-
循環水の出口温度を検知してファンのON-OFF運転をする方法
モータのON-OFF回数に時間あたりの制限がありますので、頻繁な(細やかな)制御は期待出来ません。 -
ファンモータにインバータを取り付け、回転数を制御する方法
ファンの回転数を自由に制御出来るので、高精度で省エネルギー効果のある容量制御が出来ます。インバータ制御をされる場合は、稀に運転周波数により共振現象が発生することがあります。共振現象が発生した場合は、インバータの周波数ジャンプを行う必要があります。また、使用電圧により高調波対策が必要となります。
3 注意事項
-
白煙防止性能
循環水温度制御(負荷調整)運転をしますと、冷却塔の白煙が一時的に増えることがあります。従って温度制御方法を選択される場合には、上記を加味して選択する必要があります。特に白煙防止型冷却塔の温度制御運転には注意が必要です。詳しくは、技術資料の白煙対策の項目を参照ください。 -
ルーバ面からの水飛散
ファンの運転制御中は、ルーバ面からの水飛散量が通常よりも若干多くなります。水飛散対策オプションとして、防滴板を装備することが出来ます。詳しくは、オプションの項目を参照ください。